不動産管理におけるガバナンスと可用性の両立――ゼロトラスト・アーキテクチャがもたらす「構造的堅牢性」

不動産管理におけるガバナンスと可用性の両立――ゼロトラスト・アーキテクチャがもたらす「構造的堅牢性」

大規模な不動産ポートフォリオを管理する企業にとって、システムの停止や情報漏洩は単なる一企業の不祥事に留まりません。信託銀行、投資家、そして入居者に対する社会的責任を果たすためには、従来の「境界防御」に依存しない、次世代のセキュリティ設計が不可欠です。
株式会社いい生活が提供する不動産実務基盤は、いかにして高度なガバナンス要件と実務の柔軟性を両立させているのか。その核心である「構造的セキュリティ」を技術的観点からご説明します。

境界防御の限界と、管理会社が直面する新たな脆弱性

昨今のランサムウェア被害の多くは、VPN機器の脆弱性を起点とした「境界突破」に起因しています。

  • ラテラルムーブメント(横方向の移動)のリスク:
    従来の社内LANを「安全」と定義するモデルでは、一度認証を突破されると、攻撃者は同一ネットワーク内のサーバ群へ自由にアクセス可能となります。
  • サプライチェーン・リスクの増大:
    外部委託先や小規模な拠点PCが踏み台となり、本社システムや機密データが保管された本番環境へ侵入されるケースが常態化しています。

インフラ層からの「論理的分離」と「ゼロトラスト」の徹底

いい生活では、お客様のデータを保護するために、ネットワーク設計そのものに「防御の構造」を組み込んでいます。

オフィス環境と本番環境の完全分離

いい生活の社内オフィス環境(コーポレート・ネットワーク)と、お客様のデータを管理するSaaS本番環境は、物理的および論理的に完全に分断されています。

  • 延焼の遮断:
    両環境間に直接的なルーティングは存在しません。万が一、社内端末がマルウェアに感染した場合でも、本番環境への物理的な「感染経路」が構造上存在しない設計を採用しています。
オフィス環境と本番環境の完全分離

IDベースの厳格なアクセス制御(Zero Trust)

「誰が、どの端末から、どこへアクセスするか」を動的に検証するゼロトラスト・モデルを実装しています。

  • 多要素認証(MFA)の強制:
    全てのアクセスにおいて、ID・パスワードに加え、証明書や生体認証を用いた多要素認証を必須化。
  • 最小権限の原則:
    業務上必要なリソースに対してのみアクセス権を付与し、特権アクセスのログは全て記録・監視されています。

RDPを排除した「APIファースト」による脆弱性の低減

多くのホスティング型(IaaS)サービスで利用されるRDP(リモートデスクトップ)は、利便性と引き換えに甚大なセキュリティリスクを抱えています。

なぜRDPは選ばれないのか

RDPはOSの操作権限を直接受け渡すため、クリップボードやローカルドライブの共有機能を介してマルウェアがサーバへ直接コピーされるリスクを排除しきれません。

クラウドネイティブなAPI接続の優位性

「いい生活」のサービスは、全てHTTPS/TLSによるAPI通信によって構築されています。

  • データパケットの厳格な検証:
    サーバ側は定義されたAPIリクエスト以外を受け付けないため、ウイルス等のバイナリ実行ファイルがシステム深部へ到達する経路を論理的に遮断しています。
  • 「窓口」による防護:
    PCとサーバが「直結」するのではなく、厳重なバリデーションを行う「窓口」を介した通信のみを許容します。
RDPを排除した「APIファースト」による脆弱性の低減

ガバナンスを支える「運用」の透明性と認証

システム構造に加え、大規模組織が求める監査耐性・ガバナンス要件を網羅しています。

  • 第三者認証の取得:
    ISMS(ISO 27001)に加え、クラウドセキュリティに特化した国際規格「ISO 27017」を維持。
  • 高可用性(SLA):
    AWS(Amazon Web Services)の複数データセンター(Multi-AZ)を活用した冗長構成により、単一障害点(SPOF)を排除。災害発生時もビジネスを継続させるインフラを実現しています。
  • 脆弱性診断の継続実施:
    外部の専門機関によるペネトレーションテスト(侵入テスト)を定期的に実施し、常に最新の脅威に対応。

不動産テックのリーディングカンパニーとしての責務

プロパティマネジメント(PM事業)・アセットマネジメント(AM事業)会社におけるDX推進は、安全なプラットフォームの選定から始まります。
いい生活は、単なる「ソフトウェア提供」に留まらず、不動産実務を支える「公共性の高いインフラ」として、最高水準のセキュリティ・アーキテクチャを提供し続けます。

最新情報

不動産基幹システム切替における経営判断チェックリスト

不動産管理におけるガバナンスと可用性の両立――ゼロトラスト・アーキテクチャがもたらす「構造的堅牢性」

PAGE TOP